こんにちは。コンフロントワールド学生スタッフの林ゆうきです。
今回は先日紹介した、ペルー発刑務所発のファッションブランドPietà(ピエタ)の創設者兼現社長でフランス人起業家Thomasのインタビュー記事vol.1です。
■前回の記事:「刑務所発のファッションブランドを日本で広めたい」
http://confrontworld.org/start-about-fashion-from-prison-in-peru/
ぜひ、読んでください。必ず読んでください。魂込めて、インタビューして翻訳しました。
本気でこのブランドを日本の皆様に伝えようと思っています。よろしくお願い致します。
■Pietà(ピエタ)って何だ?
南米の地、ペルーはリマの刑務所で生まれたソーシャルファッションブランド。創設者はフランス人のトマ・ジャコブ氏。現在、ポップストアはリマに5店舗、オンラインにて全世界で販売をしている。NPO法人コンフロントワールドの林が主体となり、当ブランドの日本販売を画策している。
1. ペルー発&刑務所発のファッションブランドの生い立ち
ーPietàが生まれる背景、経緯について教えてください。
Thomas―
約7年前、当時フランスの学生だった私はリマ(ペルーの首都)にいたんだ。フランス以外の国で実践活動を行う必要があって、リマで製造を行っているフランスの衣料メーカーでインターンをしていたんだよね。
ある日、刑務所で囚人にフランス語の授業を教えていた友人に誘いを受け、彼女が生徒たち(囚人)と一緒に行う劇を鑑賞しに行った。そして、そこでたくさんの囚人と出会い、私の友人はこう教えてくれたんだ。
「この中にはミシンを持っている人がいたり、服にプリントをしたりすることが出来る人もいる。裁縫や刺繍の技術を持っている人もいる。でも、仕事がないんだ。」と。
ファッションに関してはほとんど勉強したことがなかったんだけど、以前フランスの衣料メーカーで働いていて、少しだけファッションに関する経験を持っていた。そして、囚人たちも「何かしたい」「働きたい」という強い気持ちを持っていた。
その時、私はこう思ったんだ。
「彼らは、今世の中にあるものとは違った何かを作れるんじゃないか。彼らにしか作れないものがある。」と。
なぜなら、今、世界にある衣料メーカーの99.9%が中国やバングラデッシュなどで製造を行っているからね。だからこそ、刑務所内で製造を行うことによって、
完成した「服」そのものではなく、それまでの「過程」で、今までになかったようなオリジナルの物語を紡ぎだせるのではないかと考えたんだ。
そして、それらを産み出す可能性が彼らにはあると確信した。こういった経緯でPietàは始まったんだよ。
2. Pietàの現在までの歩み
ーそこから、現在に至るまでの道のりを教えてください。
Thomas―
まずはサンプル品を作るところから始めたよ。囚人の方たちと1から一緒に作ったんだ。
でも、初めの頃は製品の完成度が低すぎて、とてもじゃないけど販売できるレベルではなかった。それでも、そこから地道に努力を重ね、機械を扱う技術を上達させながら、サンプル品を作り続けたよ。その結果、少しずつ良い製品を作れるようになっていったんだ。
Pietàの取り組みを始めてから、約2年後に最初のコレクションが完成した。
服を作った囚人たちがモデルとなって、刑務所内で写真撮影を行ったんだ。彼らが作った服を彼ら自身が着てモデルとなってね。
そして、この取り組みに興味を持ってくれたメディアが取り上げてくれたりもした。ニューヨークタイムス紙なども取り上げてくれ、イギリスやスペインでも報道してもらったよ。そのおかげで、自分たちの商品を買いたいと言ってくれるお店が出てきたり、手紙を下さったりする方も出てきたんだ。
こうして、やっとPietàの商品が社会に出ることになったね。
ここまで来るのに何年もがあっという間に過ぎてしまったけど、少しずつPietàを成長させていき、初の実店舗をJockey Plaza(大型ショッピングモール)で開くことができたよ。現在はペルーのリマ市内に6店舗を展開しているよ。(Plaza Norte, Real Plaza Salaverry, Larcomar, Plaza de Angamos, Callao Monumental )
3. 今後の目標
ー今後の目標を教えてください。
今後は、ペルーにこれ以上実店舗を持つことは考えてないね。ペルー国内ではある程度の位置まで来られたと思っている。これからはペルー国内、国外関わらず「ネットショップ」を成長させていきたいと考えているよ。特にアメリカやヨーロッパで成長させたいね。
4. 所感
ここからは僕の感想で個人的な意見です。
「彼らは、今世の中にあるものとは違った何かを作れるんじゃないか。彼らにしか作れないものがある。」
このセリフはしびれましたね。囚人の方に限らずですが、人間はみんな一人ひとり背景、考えがあって、これらの違いをポジティブに捉えると
「その人にしかできない何かがある」
ってことですよね。以前、学生スタッフの亀ヶ川がウガンダで難民とお話ししていたときに
「“難民”という過去を誇りにし、強みにして、生きていく」(うる覚えなので正確ではないです)
と、言われてはっとしたと僕に話してくれましたが、まさに難民であろうと囚人であろうと、何者であろうと、過去をポジティブに捉えて、生きることはかっこいいなと思います。
余談ですが、ペルーでは窃盗、強盗、殺人などの犯罪が蔓延しています。しかし、罪を犯してしまうことがある意味仕方ないのでは、と思ってしまうような経済事情があることもまた事実です。また、これに関しては詳しく書こうと思います。
この後、【独占インタビュー②】に続いていくので、そちらも楽しみにしていてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
林ゆうき