こんにちは。学生スタッフの林ゆうきです。
今回は、「働いている囚人の方はどんな人なの?」ということについて聞いてきました。是非、お読みください!!
■前回の記事:「【独占インタビューvol.1】囚人たちにしか作れないものがある。」
http://confrontworld.org/interview-vol1-about-fashion-from-prison-in-peru/
■Pietà(ピエタ)って何だ?
南米の地、ペルーはリマの刑務所で生まれたソーシャルファッションブランド。創設者はフランス人のトマ・ジャコブ氏。現在、ポップストアはリマに5店舗、オンラインにて全世界で販売をしている。NPO法人コンフロントワールドの林が主体となり、当ブランドの日本販売を画策している。
1. 何人の囚人がPietàで働いているのか?
ーホームページには96人の囚人が働いていると書かれていましたが…。
Thomasー
96人ではないよ、今は50人から60人かな。ホームページに書かれているのは、これまでに活動した囚人の合計人数。でも、活動を始めた一番初めの頃から考えると、200人以上の囚人たちと一緒に働いてきたと思うよ。そして、多くの人が刑務所から社会に戻ったり、別の刑務所に移動したりしたんだ。
2. どんな人が働いているのか?
ーPietàで働いている囚人の方は、どのように選ばれた方なのでしょうか。希望者なのか、元々知識を持った人を採用しているのでしょうか。
Thomasー
Pietàで働いている人の全員が希望者で、働きたいという意思を持った人たちだよ。
ー働いている方々に元々知識はあったのでしょうか?
Thomasー
全ての刑務所内の全ての工房で、働きたいという意思を持った囚人の方々を歓迎しているし、受け入れている。だけど、現実的な部分を言うと、その人が元々持っている能力によって、受け入れる人数を少しだけ制限している。
僕たちは企業だから、利益を生み出す必要があり、希望者全員を雇用して給料を払うことはできないんだ。だから、実際のところ、Pietàで働く約半分の囚人の方々がミシンやプリント、裁縫等の経験をしたことがある方になっている。
でも、その方々の経験も最低限のものだよ。多くの方々がそのような状態で働き始めるから、どのように仕事をしたらいいか分からない人がほとんどなんだ。
僕は囚人がどの役割、場面でもっと成長できるかやかどんな能力を伸ばせるか、彼らが何をするのが得意なのかを観察することができているし、それらを考慮して仕事を割り振っているよ。最初はすでに働いている職人のお手伝いとして働き始め、少しずつ成長していくんだ。
3. 刑務所を出た後、どうなるのか?
ーPietàで働いていた囚人の方が刑務所を出た後はどのような仕事をされるのでしょうか。
(質問の意図が微妙に異なって受けとられて、出所したあともPietàで働く人のことについて話している)
Thomasー
出所した後も、働き続ける人?
Pietàを始めた当初から、働いてくれていたKarinaという女性は刑務所を出た後、Santa MónicaのChorrillosというところで働き始めたよ。3、4年前に出所し、その時から僕と一緒に働いてくれていた。
もう一人、紹介してもいいかな。Jordanoという男性。後ろの写真に写っている彼だよ。彼は、刑務所を約1年半前に出所したあと、Pietàのお店の店員として1年間働いてくれたんだ。
4. 所感
“囚人がどの役割、場面でもっと成長できるか、どんな能力を伸ばせるか、彼らが何をするのが得意なのかを観察することができているし、それらを考慮して仕事を割り振っている。”
前回「このアイデアを思いついてから最初のコレクションが完成するまでに2年間かかった」と話してくれました。このように囚人の方たちと一緒に0から1を作って、そしてその経験から、今は1人1人の特性や能力を考慮して、それぞれに適切な役割を振っているということで、素直に凄いなと思ってしまいました。
この世界に全く同じ人は1人としていません。そして、その人それぞれの良さは必ずあり、それが活かされる環境も異なると思います。しかし、自分自身の良さは何かと言われると、それを答えるのは難しい。
だからこそ、その人を認めてくれ、褒めてくれる家族、友人、の存在が大きく感じるのだと思います。
それは、一度罪を犯してしまった囚人にも当てはまります。彼らに「働く」機会を提供することで、その人の良さを見つけ、それが活きる役割を与える。
ただ働く機会を与えるだけでなく、その後のサポートまで、Pietà(ピエタ)の活動で実現できているのです。
簡単にやっているように見えて、ここまでやるのはすごく難しい。でも、その分、とても意味のあることなんだろうなと思います。
国際協力の文脈でも一緒。例えば、
・途上国の貧しい子どもに何かしらの「機会」を与える活動。(教育、スポーツ、その他諸々)
もちろん、これだけでも十分素晴らしい活動だと思います。しかし、その機会を提供するだけでなく、参加している子どもたちをしっかりと観察する中で、子どもたちそれぞれの良さ、得意なことを見つけ、それが活きるようなまた別の「機会」「役割」を提供する、こんなサイクルができたらどうでしょうか。
さらに意味のある活動になるんだろうなと思います。
これを実現するのはとても難しいことだとは思いますが、自分も今後、貧しい子どもにサッカーを教える機会があるので、そのときに少しこれを意識してみて活動してみます。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
林ゆうき